仕訳・勘定科目のことなら、仕訳 勘定科目.com 勘定科目,仕訳の検索ができます。
顧問料不要の三輪税理士事務所
仕訳 勘定科目.comは、仕訳 勘定科目の検索ができるホームページです。
勘定科目ごとの税務上の取り扱いも掲載していますので、法人税・消費税について分からなくなっ た時も勘定科目一覧から検索して参考にしてください。
貸借対照表 損益計算書
科目の名前

貸倒引当金               

科目の説明

貸倒引当金とは、売上債権(受取手形、売掛金)・金銭債権等の回収不能による損失に備える為の引当金をいいます。
債権は、一般債権、貸倒懸念債権、破産更生債権等などに区分され、その回収可能性に応じて貸倒引当金の設定が行われる。

表示される場所 設定の対象となる債権に応じて、「流動資産(売上債権)」・「流動資産(その他の流動資産)」・「固定資産(投資その他の資産)」に債権から控除する形で表示する。
計上時期 貸倒引当金を設定したとき

注意点

注意点

(1)債権の区分

貸倒見積高の算定にあたっては、債務者の財政状態及び経営成績等に応じて、債権を次のように区分する。

@一般債権…経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権

A貸倒懸念債権…経営破綻の状態には至っていないが、債務の弁済に重大な問題が生じているか又は生じる可能性の高い債務者に対する債権

B破産更生債権等…経営破綻又は実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権

 

(2) 貸倒見積高の算定方法

債権の貸倒見積高は(1)の区分に応じてそれぞれ次の方法による。

なお、債務者から契約上の利払日を相当期間経過しても利息の支払を受けていない債権及び破産更生債権等については、すでに計上されている未収利息を当期の損失として処理するとともに、それ以後の期間に係る利息を計上してはならない。

@一般債権

債権全体又は同種・同類の債権ごとに、債権の状況に応じて求めた過去の貸倒実績率等合理的な基準により貸倒見積高を算定する。

A貸倒懸念債権

債権の状況に応じて、次のいずれかの方法により貸倒見積高を算定する。

ただし、同一の債権については、債務者の財政状態及び経営成績の状況等が変化しない限り、同一の方法を継続して適用する。

a、債権額から担保の処分見込額及び保証による回収見込額を減額し、その残額について債務者の財政状態及び経営成績を考慮して貸倒見積高を算定する方法

b、債権の元本の回収及び利息の受取りに係るキャッシュ・フローを合理的に見積もることができる債権については、債権の元本及び利息について元本の回収及び利息の受取りが見込まれるときから当期末までの期間にわたり当初の約定利子率で割り引いた金額の総額と債権の帳簿価額との差額を貸倒見積高とする方法

B破産更生債権等

債権額から担保の処分見込額及び保証による回収見込額を減額し、その残額を貸倒見積高とする。

なお、破産更生債権等の貸倒見積高は、原則として、貸倒引当金として処理する。ただし、債権金額又は取得価額から直接減額することもできる。

税務上の
取り扱い

法人税においては、法人が貸倒引当金に繰り入れた金額のうち、以下の区分に応じた金銭債権の繰入限度額に達するまでの金額が損金の額に算入されます。

(1)個別評価金銭債権

@大法人(資本金が1億円超の法人)

 繰入限度額・・・各事由ごとの繰入限度額×一定の率※4

A中小法人(資本金が1億円以下の法人)

 繰入限度額・・・各事由ごとの繰入限度額

債権につき、弁済を猶予され又は賦払により弁済される場合
事由
・会社更生法又は金融機関の更生手続きの特例等による更生計画認可の決定
・民事再生法の規定による再生計画認可の決定

・破産法による強制和議の認可の決定

・商法による特別清算に係る協会の認可又は整理計画の決定
・債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの
・行政機関、金融機関その他第3者のあっせんによるその者間の協議により締結された契約でその内容が上記に準ずるもの
繰入 限度額
上記の事由が生じた事業年度終了の日の翌日から5年を経過する日までに弁済されることとなっている金額以外の金額
-
担保権の実行その他により取立て又は弁済の見込みがあると認められている部分の金額
債権に係る債務者につき一定の事由が生じている場合
事由
・債務超過の状態が相当期間継続し、その営む事業に好転の見通しがないこと
・災害、経済事情の急変等により多大な損害が生じたこと
繰入 限度額

一部につき、取立て又は、弁済の見込みがないと認められる金額その一部に相当する金額

その他債権に係る債務者につき一定の事由が生じている場合
事由
・会社更生法又は金融機関の更生手続きの特例等による更生手続き開始の申立て
・民事再生法の規定による再生手続開始の申立て
・破産法による整理開始又は特別清算開始の申立て
・商法による整理開始又は特別清算開始の申立て
・手形交換所による取引停止処分(※1)
繰入限度額
{
債権の額
-
実質的に債権とみられない部分の金額(※2)
-
担保権の実行その他により取立て等の見込みがあると認められている部分の金額
×
50/100

(※1)原則…期末までに取引停止処分を受けた場合

   特例…期末までに手形が不渡りとなり、確定申告書の提出期限までに取引停止処分を受けた場合

(※2)下記うちいずれか少ない金額

   ・同一者の債務者に対する債権の合計額

   ・同一者の債務者に対する債務(支払手形を除く)の合計額

外国の政府、中央銀行又は地方公共団体に対する債権
事由
長期にわたる債務の履行遅滞によりその経済的な価値が著しく減少し、かつ、その弁済を受けることが著しく困難であると認められる事由が生じている場合
繰入限度額
{
債権の額
-
実質的に債権とみられない部分の金額
-
保証債務の履行その他により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額
×
50/100

 

(2)一括評価金銭債権

@大法人(資本金が1億円超の法人)

繰入限度額…一括評価金銭債権×実質繰入率※1×一定の率※4

※1.実質繰入率(小数点4位未満切上)

A中小法人(資本金が1億円以下の法人)

下記のいずれか大きい金額

・一括評価金銭債権×実質繰入率※1

・(一括評価金銭債権-実質的に債権とみられないものの金額※2)×法定繰入率

※2.原則法と簡便法のいずれか少ない金額

  a.原則法(いずれか少ない金額)

・同一者の債務者に対する債権の合計額

・同一者の債務者に対する債務の合計額

  b.簡便法(小数点3位未満切捨て)

※3.法定繰入率

卸・小売業
製造業
金融保険業
割賦小売業
その他
10/1,000
8/1,000
3/1,000
13/1,000
6/1,000

(注)一括評価金銭債権の範囲

@売掛金・貸付金・受取手形

売掛金

貸付金

受取手形

設定の対象となる

A未収入金

資産の譲渡対価たる未収入金

役務提供の対価たる未収入金

貸付金の未収利子

未収損害賠償金(益金算入のもの)

設定の対象となる

預貯金及びその未収利子

公社債の未収利子

未収配当金

設定の対象とならない

B立替金

他人のために立替払いした場合の立替金 設定の対象となる
前払給料、概算払旅費等のように将来精算される費用の前払いとして一時的に立替金として経理したもの 設定の対象とならない

C売掛金・貸付金等について取得した先日付小切手

先日付小切手 設定の対象となる

D債務保証

保証債務履行前の求償権 設定の対象とならない
保証債務履行後の求償権 設定の対象となる

E割引手形・裏書手形

取引の対価として取得した手形の割引高 設定の対象となる
融通手形の割引高・割引手形の再割引高 設定の対象とならない

F融通手形

受取手形(割引・裏書をしていない)
一括評価金銭債権に含まれる
同額が実質的に債権とみられないものの額(原則法)に該当
割引手形・裏書手形(割引・裏書をしている) 一括評価金銭債権に含まれない。

G長期割賦未収金

区分
売掛債権に含まれる金額

未実現利益控除法

長期割賦未収入金の額
対照勘定法
棚卸資産の額

Hその他売掛債権にならないもの

・雇用調整給付金のように法令の規定に基づいて交付を受ける給付金等の未収金

・仕入割戻しの未収金

 

※4一定の率

@H24.4.1〜H25.3.31までの間に開始する事業年度・・・3/4

AH25.4.1〜H26.3.31までの間に開始する事業年度・・・2/4

BH26.4.1〜H27.3.31までの間に開始する事業年度・・・1/4

CH27.4.1以後開始する事業年度・・・0 (繰入額がなくなります)

消費税の区分 消費税の対象外となります。
その他 貸倒引当金として繰り入れた金額は、その事業年度の翌事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入されます。
仕訳例

一般債権2,000,000円について法定繰入率(10/1,000)により貸倒引当金を設定した場合。

貸倒引当金繰入

¥20,000-

貸倒引当金

¥20,000-

 

翌事業年度において、前期に設定した貸倒引当金20,000円を戻しいれた場合。

貸倒引当金

¥20,000

貸倒引当金戻入益

¥20,000-